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雪氷百選
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落差は約100m(登攀距離150m)。 国内で登ること(アイスクライミング)のできる一段の氷瀑としては最も大きいものの一つ。 余程の暖冬でない限り、 毎年1月下旬から2月上旬の2週間ほどアイスクライミングが楽しめる。 車道から歩いて30分ほどで滝の下まで行くことができる。 雪崩の危険がある山奥には他にも大きな氷瀑はあると思うが、 誰でも見ることのできるところにできるのが貴重だと思う
![]() ![]() ![]() ![]() 氷瀑(山梨県芦川蛇沢、千波ノ滝) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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白山国立公園、 加賀禅定道沿いから見下ろす百四丈の滝は、 昭和後期まで登山道が整備されず閉ざされたエリアで、 過去の白山禅定道図に記載されている幻の滝とされていた。 しかし近年更に冬期間に滝が作る奇跡の造形が話題となって、 4月以降の残雪期に健脚の登山者に人気のスポットとなっている。 百四丈の滝は標高1,700mから1,800mに有り落差約90mのオーバーハングの滝である。 背後に清浄ヶ原という広大なオオシラビソを中心とした森林の水源地を控え厳冬期も凍らずに、 たゆみなく流水が滝壺に流れ落ち続ける結果、 滝しぶきが円筒状に凍りつき、 ドーム形状の巨大な氷の造形が現れる。 これは毎年繰り返し融けてはまた作られる自然現象で厳冬期のヘリからの空撮では、 厳冬期の最大の高さは推定50mに達する。 一般登山者が訪れる事が出来る時期には気温の上昇や水量の増加でやや低くなり、 穴も直径10m位に広がる。 巨大ドームの形状はその年の気象条件によりまちまちである。 この造形には冬でも流水が凍らない気象条件と広大な水源地、 オーバーハングして直射日光が当たる時間が短いなどの立地条件など様々な条件が折り重なって出来る奇跡の造形と言える。
![]() ![]() ![]() ![]() 白山国立公園 百四丈の滝が作る氷の造形 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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鳥海山(2236m, 北緯39度, 東経140度)の南斜面には, 主な「吹きだまり型万年雪」として, 「大股」, 「心字雪」および「貝形」がある. 最深部の高度が約1800m, 1600mおよび1400mにあり, これらは雪崩を混入しないので, その盛衰は寒冷化や温暖化などの脈動的気候変動の高度別影響の検討に適している. 吹きだまり型としては日本では大きいほうであり, 「大股」は日本最大と思われる. どれも多雪年の春の積雪深が30m以上になる部分が多く, 最深部が40m以上も少なくない. 北緯40度以南の2000m以下の高度であり, 高山や高緯度より氷化が早く, 降雪から1年以内の秋10月に, 表面から30cm程度で氷河氷密度(0.83以上)になることもあった. 多雪冷夏や少雪暑夏などの累年効果と基盤地形との関連によって, 「貝形」で数年規模, 「心字雪」で10年規模の, 多年性氷体の形成やクレバス, 底面流動等が発生する小規模な氷河現象が観察計測できた. 温暖化の推移によっては, 調査対象が「心字雪」と「大股」に移るが, 短期的寒冷への戻りなどの検討には「貝形」も利用できる.
![]() ![]() ![]() ![]() 鳥海山の万年雪(多年性雪渓) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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樹氷(アイスモンスター)は、 奥羽脊梁山脈のアオモリトドマツ分布地帯の一部にみられる特異な着氷雪現象である。 殊に山形蔵王の樹氷(アイスモンスター)は有名で、 樹氷原を豪快に滑走できるコースを擁する蔵王温泉スキー場からロープウェイで容易にアプローチして鑑賞できるのが魅力である。 日本地下水開発株式会社では、 1997年から17冬季にわたって樹氷観測を続けている。 1940年代には標高1,300m以上の一帯で鑑賞できたとされる樹氷も、 最近15冬季は標高1,560m付近が形成下限となっている。 いわゆる地球温暖化と樹氷形成との関連性について指摘されるようになって久しいが、 今後も観測を継続してその傾向を明らかにしたい。 最近では、 山形大学の柳澤教授らにより、 大正時代以降の樹氷発見に関する資料、 樹氷を世界に知らしめた映画、 樹氷命名論争など、 樹氷に関する100年を超える歴史的な経緯も明らかになってきている。
![]() ![]() ![]() ![]() 山形蔵王の樹氷(アイスモンスター) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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幻氷は, 光の屈折により流氷が様々に変化して見える蜃気楼現象である. 陸地で暖められた空気が沖合に移流し, 海面直上の冷たい空気との境界で光が屈折することで, 実在する流氷の上に虚像が見られ, 沖合に氷の壁が現れたかのように見える. オホーツク海では, 海氷密閉度が小さくて寒い日に発生する下位蜃気楼と海氷密閉度が大きくて厳寒期に発生する冬の上位蜃気楼も見られるが, 海氷密閉度が小さくて暖かい日に発生する春の上位蜃気楼である幻氷は, 稀にしか発生しない珍しい現象である. 幻氷は, 春先の流氷後退期に見られ, 「春の訪れ」や「海明け」を知らせる春の風物詩として注目されている. 北海道斜里沖は, 流氷が遅くまで残る海域で, 幻氷の発生に適した地域である. かつては, 5月にも幻氷が見られていたようだが, 近年は流氷減少により海明けが早まってきていて, 気候の変化が幻氷の発生状況にも影響を及ぼしているようである.
![]() ![]() ![]() ![]() オホーツク海の幻氷(流氷の蜃気楼) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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青森県の岩木山には, 日本一数多くの雪形が見られると言われている. 津軽地方, 特に弘前方向から見た岩木山には, 数多くの雪形を見ることができる. その多くは, 4月中旬から5月の中旬にかけてで, それぞれの雪形に対しては, 津軽地方の各地で, コメの苗作りやリンゴの開花時期, 田植えの等の農作業に関する言い伝えが残っている.
![]() ![]() ![]() ![]() 岩木山の雪形 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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斑点ぬれ雪とは, 直径2〜10cm程度の円形の白い斑点が表面に現れているぬれ雪のことであり, アスファルト路面やコンクリート路面など, 透水性のない路面上に薄く堆積した積雪に出現する場合が多い。 出現時の積雪深は1〜2cmが多く, 大部分の積雪は水で飽和している。 斑点部には気泡が存在しており, そこで日射が拡散反射することで白く見える。 なお, 今回応募する写真は2009年11月1日早朝に北海道常呂郡置戸町で撮影されたものであり, 斑点ぬれ雪の研究を行なうきっかけとなった写真である。
![]() ![]() ![]() ![]() 斑点ぬれ雪 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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日本にも, 最終氷期には日本アルプスや日高山脈に約400もの氷河が発達したが,間氷期の現在、 氷河は現存しないと考えられてきた. ところが, 電波で氷厚を測るアイスレーダーや高精度GPSなど新しい機器を使った観測が, 2009年頃から立山連峰の多年性雪渓で行われるようになり, 幾つかの多年性雪渓は, 流動する氷体をもつ「氷河」であることが分かった. 現在, 「氷河」として学術的に認められているのは, 立山の御前沢雪渓, 剱岳の三ノ窓雪渓・小窓雪渓で, 最大の「氷河」である三ノ窓雪渓は, 厚さ70 m、 長さ1200 mに達する氷体をもち, 1ヶ月あたり約30 cm流動している. 従来, 極東地域では, カムチャツカが氷河分布の南限と考えられてきたが, 今後は立山連峰が南限となる.
![]() ![]() ![]() ![]() 立山・剱岳の現存する氷河 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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東京都檜原村(ヒノハラムラ)所在の払沢の滝(ホッサワノタキ)は, 東京で唯一の「日本の滝 百選」に選ばれた名滝です. 滝は落差約60メートルの四段からなり, 最下段の約23メートルの一の滝が冬季1月中旬に氷結します. 最近は完全結氷することはほとんどなく, 写真は2015年2月に撮影したもので, 3日ほど前に山間部に降った雪が積もって凍りついた状態です.
![]() ![]() ![]() ![]() 氷結の払沢の滝 (ホッサワノタキ) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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飛騨山脈立山連峰から派生する大日連峰の主峰である奥大日岳には, 厳冬期, 日本海からの季節風によって, 山稜の北東側斜面に巨大な雪庇が出現する. 急峻な地形と強風が作り出すもので, 例年20mから30m, 最大で40m以上も張り出し, 我が国で最大級の雪庇となる.
![]() ![]() ![]() ![]() 奥大日岳の巨大雪庇(富山県立山町) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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