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雪氷百選
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白山国立公園、 加賀禅定道沿いから見下ろす百四丈の滝は、 昭和後期まで登山道が整備されず閉ざされたエリアで、 過去の白山禅定道図に記載されている幻の滝とされていた。 しかし近年更に冬期間に滝が作る奇跡の造形が話題となって、 4月以降の残雪期に健脚の登山者に人気のスポットとなっている。 百四丈の滝は標高1,700mから1,800mに有り落差約90mのオーバーハングの滝である。 背後に清浄ヶ原という広大なオオシラビソを中心とした森林の水源地を控え厳冬期も凍らずに、 たゆみなく流水が滝壺に流れ落ち続ける結果、 滝しぶきが円筒状に凍りつき、 ドーム形状の巨大な氷の造形が現れる。 これは毎年繰り返し融けてはまた作られる自然現象で厳冬期のヘリからの空撮では、 厳冬期の最大の高さは推定50mに達する。 一般登山者が訪れる事が出来る時期には気温の上昇や水量の増加でやや低くなり、 穴も直径10m位に広がる。 巨大ドームの形状はその年の気象条件によりまちまちである。 この造形には冬でも流水が凍らない気象条件と広大な水源地、 オーバーハングして直射日光が当たる時間が短いなどの立地条件など様々な条件が折り重なって出来る奇跡の造形と言える。
![]() ![]() ![]() ![]() 白山国立公園 百四丈の滝が作る氷の造形 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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樹氷(アイスモンスター)は、 奥羽脊梁山脈のアオモリトドマツ分布地帯の一部にみられる特異な着氷雪現象である。 殊に山形蔵王の樹氷(アイスモンスター)は有名で、 樹氷原を豪快に滑走できるコースを擁する蔵王温泉スキー場からロープウェイで容易にアプローチして鑑賞できるのが魅力である。 日本地下水開発株式会社では、 1997年から17冬季にわたって樹氷観測を続けている。 1940年代には標高1,300m以上の一帯で鑑賞できたとされる樹氷も、 最近15冬季は標高1,560m付近が形成下限となっている。 いわゆる地球温暖化と樹氷形成との関連性について指摘されるようになって久しいが、 今後も観測を継続してその傾向を明らかにしたい。 最近では、 山形大学の柳澤教授らにより、 大正時代以降の樹氷発見に関する資料、 樹氷を世界に知らしめた映画、 樹氷命名論争など、 樹氷に関する100年を超える歴史的な経緯も明らかになってきている。
![]() ![]() ![]() ![]() 山形蔵王の樹氷(アイスモンスター) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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日本にも, 最終氷期には日本アルプスや日高山脈に約400もの氷河が発達したが,間氷期の現在、 氷河は現存しないと考えられてきた. ところが, 電波で氷厚を測るアイスレーダーや高精度GPSなど新しい機器を使った観測が, 2009年頃から立山連峰の多年性雪渓で行われるようになり, 幾つかの多年性雪渓は, 流動する氷体をもつ「氷河」であることが分かった. 現在, 「氷河」として学術的に認められているのは, 立山の御前沢雪渓, 剱岳の三ノ窓雪渓・小窓雪渓で, 最大の「氷河」である三ノ窓雪渓は, 厚さ70 m、 長さ1200 mに達する氷体をもち, 1ヶ月あたり約30 cm流動している. 従来, 極東地域では, カムチャツカが氷河分布の南限と考えられてきたが, 今後は立山連峰が南限となる.
![]() ![]() ![]() ![]() 立山・剱岳の現存する氷河 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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最低気温がマイナス10〜20°Cに達する厳冬期の信州, 木曽御嶽山麓の西野川右岸の崖上や壁面から染み出す地下水が凍結し, 巨大な氷のカーテンが出現する. 年により高さ約50m, 幅約250mにも達する青白い氷柱が氷河のような自然の造形を見せ, 奇観であるとともに壮大な眺めである.
![]() ![]() ![]() ![]() 白川氷柱群(長野県木曽町井原) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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新庄—小牛田間を結ぶ陸羽東線は, 1917(大正6)年11月に開通しましたが, その翌冬は新潟県三俣集落と山形県大鳥鉱山で, 我が国で犠牲者数1, 2位となる大雪崩が発生した年でもありました. 陸羽東線でも多数の雪崩により不通が相次いだことにより, 雪崩防護工の設置が順次進められました. 大正年代の雪崩防護工が未だにその役目を果たしているのは貴重です(2004年12月23日撮影).
![]() ![]() ![]() ![]() 陸羽東線の歴史的雪崩防護壁 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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山形県の北に位置する新庄盆地では逆転層が形成されやすく, 時々凍雨現象が見られます. この写真は2012年2月23日朝に降った凍雨を撮影したもので, 当日の最低気温は-7.3℃を記録しました. 偏光顕微鏡で撮影したので氷結晶による干渉色が付いていますが, 中心付近に気泡が見られるのは外側から凍結して気泡が中心に閉じ込められたことを意味します. 左側の大きな凍雨の直径が約1.5mm.
![]() ![]() ![]() ![]() 新庄盆地の凍雨 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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飛騨山脈立山連峰から派生する大日連峰の主峰である奥大日岳には, 厳冬期, 日本海からの季節風によって, 山稜の北東側斜面に巨大な雪庇が出現する. 急峻な地形と強風が作り出すもので, 例年20mから30m, 最大で40m以上も張り出し, 我が国で最大級の雪庇となる.
![]() ![]() ![]() ![]() 奥大日岳の巨大雪庇(富山県立山町) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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幻氷は, 光の屈折により流氷が様々に変化して見える蜃気楼現象である. 陸地で暖められた空気が沖合に移流し, 海面直上の冷たい空気との境界で光が屈折することで, 実在する流氷の上に虚像が見られ, 沖合に氷の壁が現れたかのように見える. オホーツク海では, 海氷密閉度が小さくて寒い日に発生する下位蜃気楼と海氷密閉度が大きくて厳寒期に発生する冬の上位蜃気楼も見られるが, 海氷密閉度が小さくて暖かい日に発生する春の上位蜃気楼である幻氷は, 稀にしか発生しない珍しい現象である. 幻氷は, 春先の流氷後退期に見られ, 「春の訪れ」や「海明け」を知らせる春の風物詩として注目されている. 北海道斜里沖は, 流氷が遅くまで残る海域で, 幻氷の発生に適した地域である. かつては, 5月にも幻氷が見られていたようだが, 近年は流氷減少により海明けが早まってきていて, 気候の変化が幻氷の発生状況にも影響を及ぼしているようである.
![]() ![]() ![]() ![]() オホーツク海の幻氷(流氷の蜃気楼) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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新庄—小牛田間を結ぶ陸羽東線は, 1917(大正6)年に開通しましたが, 翌冬, 猛吹雪により堺田駅で機関車が閉じ込められ3日間不通になりました. この冬の除雪人夫数は延べ21575人にもなったとのこと. このため, 直ちに防雪林(樹高平均0.45m)の設置が開始され, 1924(大正13)年には樹高平均4.24mにまで成長し, 除雪人夫数を大幅に減らすことができました. 現在は無人駅(2004年12月23日撮影).
![]() ![]() ![]() ![]() 陸羽東線堺田駅の防雪林 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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斑点ぬれ雪とは, 直径2〜10cm程度の円形の白い斑点が表面に現れているぬれ雪のことであり, アスファルト路面やコンクリート路面など, 透水性のない路面上に薄く堆積した積雪に出現する場合が多い。 出現時の積雪深は1〜2cmが多く, 大部分の積雪は水で飽和している。 斑点部には気泡が存在しており, そこで日射が拡散反射することで白く見える。 なお, 今回応募する写真は2009年11月1日早朝に北海道常呂郡置戸町で撮影されたものであり, 斑点ぬれ雪の研究を行なうきっかけとなった写真である。
![]() ![]() ![]() ![]() 斑点ぬれ雪 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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